「ほん怖 夏の特別編 2013」ロケ地マップ

 2013年、フジテレビ系列で放送された「ほんとにあった怖い話 夏の特別編 2013」のロケ地マップです。「夏の特別編 2013」は、「Xホスピタル」の「X字型の病院探し」や、「蠢く人形」に「心霊現象」が写っているなど、放送当時はネット上でも話題になった作品です。


 全5話のうち第3話の「影の暗示」では、主人公=遠山美和(深田恭子さん)が「影」を追跡した「経路」も「Google Earth」のストリートビュー(SV)で探してみました。

● フジテレビ「ほんとにあった怖い話 夏の特別編 2013」番組Webページ



第1話 2階が怖い

脚本:酒巻浩史さん  鶴田法男さん

演出:鶴田法男さん

出演:鈴木 福くん  YOUさん 他

 「霊」の姿が見えるという主人公=秋野竜(鈴木 福くん)が、母親(YOUさん)、祖母と引っ越してきた「家」。その家の「2階」に不穏な雰囲気を感じていたが、ある日、不穏な雰囲気の原因(幽霊)を目撃してしまうという話。

 主人公が引っ越してきた家よりも、本編冒頭に「男性の幽霊」が立っていた蔦の絡みついた家の方が遥かに怖い感じでしたが、引っ越したことがない私にも「嫌な感じ」を感じる家はありました。昔、うちでは「曳家(ひきや)」で隣家から譲り受けた2階建ての家を「倉庫」として使っていましたが、階段を上がった突き当りの「壁」に「嫌な感じ」を感じていて、日が暮れてからはその倉庫に入るのが嫌でした。そこで何かを見たり聞いたりすることはありませんでしたが、解体されるまで、なんとなく嫌な感じを受け続けました。

 主人公=竜は、「なんとなく感じる」ではなく、ハッキリと見えてしまうようなので、子供にはなかなか厳しい環境ではないかと思いましたが、まったく霊の存在を感じない母親(YOUさん)との対比が面白かったです。

 しかし、幽霊から身を守るための「おまじない=三歩下がって、ペッ、ペッ、ペッ!」は、「ペッ、ペッ、ペッ!」の瞬間に、確実に幽霊から目を離すことにになるので、「振り返ったら幽霊!」という典型的な「ほん怖オチ」に持ち込むための無理やりな「演出」だったと思います。

 「神奈川県某所」という設定で物語りは始まりますが、撮影場所は東京都港区「芝」周辺です。

 竜親子が歩いて来るシーン→竜が男性の幽霊を目撃するシーン→引っ越してきた家まで、「引っ越してきた家」として使われた物件の周辺で撮影されています。撮影時に「蔦が絡んでいた家」は、Google Earthのストリートビュー(SV)で見ると「蔦」が刈り取られていて、撮影時の「不穏な雰囲気」はなくなっています。

 撮影時は蔦が絡んでいたのと、本編の映像とSVとで写っている範囲が違うため同じ場所のように見えませんが、この角に「男性の幽霊」が立っているのを竜が目撃。しかし、意に介せず母親は竜の手を引いてこの道を入って行きました。

 「ハウススタジオ」として登録されている家ではないようで探すのに時間がかかりましたが、竜親子が引っ越してきた「怖い2階」のある竜親子が「引っ越してきた家」です。

 竜が通う小学校の「通学路」と思われる場所も見つかりましたが、SVで確認が出来なかったため、実際に現地へ出かける機会があったら確認してこようと思っています。

 竜が、2階の幽霊を見て気を失った事で、母親も「霊」の存在を認めざるを得ないようになり、「帰宅」の経路を変更して家へ帰る親子の姿を描くことで、この家に住み続けなければならない竜にも、いくらかの「救い」は有りそうだという演出でした。



第2話 Xホスピタル

脚本:鶴田法男さん  穂科エミさん

演出:鶴田法男さん

出演:藤ヶ谷太輔さん  吉田 羊さん  柄本時生さん 他

 主人公=佐々木直樹(藤ヶ谷太輔さん)が「研修医」として勤める「病院」は、「怪現象」が起こるという噂の「Xホスピタル」だった!東西南北の病棟で起こる怪異をすべて体験してしまった直樹は研修医を続けることにに不安を感じるが…。という話。

 先輩医師として登場する「吉田 羊さん」から期待されている事と、研修医として患者から信用されていない現実と、怪奇現象が起こる現場で徐々に精神を病んで行くかと思いましたが、数々の経験を経て「医療」の道を力強く進んで行くという話にまとめられていました。

 「ほん怖」には「病院話」が沢山ありますが、「医者」が病院に出る「幽霊」を怖がっていたら仕事になりませんよねぇ。事故に遭って瀕死の状態で救急搬送されて、そのまま亡くなる人もいれば、健康診断のつもりで受診して病気が見つかり、そのまま入院したものの治療の甲斐なく亡くなる人。「まさかここで死ぬとは思っていなかった…。」という思いを残して亡くなる人が大勢いる場所ですから、「出る」のが当たり前。

 それよりも、「医師という仕事」は、「診断」を誤ったり、手術中に「ミス」をしたりすれば「生きられる命を、殺してしまうかもしれない仕事。」だという事を理解していれば、「怖いのは、幽霊よりも自分のミス…。」となるでしょう。それは、先輩医師(吉田 羊さん)の台詞にもありましたが、数々の怪異を経て、それを理解した直樹が、最初は「ちゃんとした医師に診てもらいたい…。」と言っていた患者からも「信頼」されるようになり、怪奇現象を起こした「霊」の存在は感じながらも、直樹の医療に向かう「精神(もう、死なせない!)」が研修医から医師へ一歩近づいた事を感じさせる物語りでした。

 「幽霊」の表現の方は、「ほん怖定番」「白目の幽霊」が安直な感じも受けますが、「X字型の建物の東西南北の端で怪異が起こる」という設定のために、脚本の完成までにかなりの時間がかかったそうで、その分、起こる怪異と主人公の人間ドラマが上手く一つになった「傑作」だと思っています。

 さて、その「Xホスピタル」「某県某所」という設定ですが、放送当時は「あの病院はどこにあるのか?」という事が話題になりました。番組の設定が『コミックス「ほんとにあった怖い話(ほん怖)」に投稿された、読者の体験談を基にしたドラマ。』という事なので、実在する「X字型の病院」の画像や、「本当はY字型だ!」と画像をTwitterに投稿する方も多かったようですが、「病院なら、どこでも出るのが当たり前。」、このX字型の病院が実在するかどうかは大した問題ではないと思います。

 ロケ地①、本編の中で、直樹が同僚研修医(柄本時生さん)から「Xホスピタルの噂」を聞き、パソコンで検索した結果、得られた画像として登場する病院の外観と、遠景で捉えた病院の外観とは、「屋上中央の構造物」などに若干違いが見られますが、Xホスピタル周囲の道路や建物から「Xホスピタル外観」として使用されたのは、東京都港区品川埠頭の「東京入国管理局庁舎」だと判ります。

 「…脚本の完成までに時間がかかった。」という話から、ドラマの構想が出来上がった時に、建設途中だったこの建物を「Xホスピタルの外観」として使うことが決まって屋上中央の構造物が無い状態で撮影が決行されたのか、「建設途中」の「X字型のビルディング」を見て「Xホスピタルの構想」が出来上がったのか判りませんが、屋上中央の構造物と、各棟を補強するように張り出した中央のガラス張りの構造が本編に登場した遠景とは異なっています。ただ、「CG」で加工しようと思えば、加工できる個所なので、脚本が完成するまでの間に、同じ時間をかけて「CG加工」された可能性も考えられます。

 「Xホスピタル外観(遠景)」は、SVで見るよりも遠くから撮影されています。「首都高速一号羽田線」の高架をよけて望遠レンズで撮影した映像が使われたのかと思いますが、「全面ガラス」の中央の不自然な出っ張りは遠景には見られませんが、別のシーンで映った外観には「全面ガラスの出っ張り」が見られるカットもありました。

 ロケ地②、すべての物語は「院内」で進行しますが、撮影が行われた病院は静岡県牧之原市の「榛原総合病院」です。病院の外観はまったく登場しませんが、Xホスピタルのフロアマップに合わせて、上手く場面を繋げて「X字型の建物」であるかのように見せています。

 当初、院内の「柱」に貼られた「病棟案内用掲示物」が、「第3話 影の暗示」の病院(井上病院)の場面でも見られたのと、「ストレッチャーに追われる場面」「廊下の配色」「手すりのデザイン」が井上病院と同じだったので、「ストレッチャーに追われる場面」は「影の暗示」と同じ「井上病院」で撮影されたものと考えていましたが、ページの公開直前にもう一度、録画してある番組を観たところ「…!廊下の天井の蛍光灯の向きが違う!!」という事に初めて気が付きました。

 「榛原総合病院」のWebサイトに掲載されている各階の「フロアマップ」と照らし合わせても、院内の「掲示物」、「病棟表示」の内容は、もはや一切信用できない状況となったため、なかなか撮影場所を特定できませんでしたが、院内のシーンは「榛原総合病院」で撮影されたものと判断しました。「掲示物」という「小道具」に騙されました…反省。

● 榛原総合病院「フロアマップ」Webページ



第3話 影の暗示

脚本:木滝りまさん

演出:森脇智延さん

出演:深田恭子さん  平岩 紙さん  朝加真由美さん 他

 再就職活動中の主人公=遠山美和(深田恭子さん)が目撃した宙を漂う黒い「影」。その「影」が行くところに、なぜか「不幸」が訪れる。「影」と「不幸」の関係に悪い予感を感じていると、その「影」が祖父にも見えることが判った。「影」が何かを暗示しているらしい事を予感した美和は、面接に向かう途中で目撃した「影」を「追跡」「葬儀」が行われている家にたどり着き、影が何かを「暗示」している事を予感するが、新しい職場でやりがいのある仕事に就いた美和の後ろに「影」が…。という話。

 「影」の正体は最後まで明らかにされませんでしたが、「幽霊」と同じように「ほとんどの人には見えないけれど、見える人には見える存在」なのだと思います。ハッキリと見える人には、「死神」の姿で見えるのかもしれません。「怪談=心霊話」と言うよりは、「ミステリー」調のドラマでした。

 本編では「影」という存在を「黒い煙の塊」で表現していましたが、私は夜中に近所のコンビニへ買い物に行った帰りに10mほど先の道を横切る「猫くらいの大きさの黒い靄」を見た事があります。「黒猫」かと思いましたが、よく見ると路面が透けていて、「半透明の黒猫が道を横断している」ような感じでした。幸い「不吉なこと」は起きませんでしたが、昼間だったら追跡を試みていたかもしれません。

 ロケ地は広範囲に亘っています。短期間で撮影したのなら、「深田恭子さん(フカキョン)」はかなり忙しい思いをしたのではないでしょうか。

 ロケ地①、冒頭のシーンから最初に「影」を「目撃」するまでは、東京都江東区「青海」で撮影されています。リクルートスーツ姿の美和が面接の応対を練習している場面は、「ゆりかもめ」「テレコムセンター駅」近くの「噴水(泉)」で撮影。すぐ横には、「ほんとにあった怖い話 15周年スペシャル」「腕をちょうだい」で企業の外観として登場した「青海フロンティアビル」があります。

 「ゆりかもめ」が「芝浦ふ頭駅」を出て「レインボーブリッジ」を渡るために円を描きながらスロープ登って行くと、南のビルの合間に「Xホスピタル(東京入国管理局庁舎)」が見えます。レインボーブリッジを渡ってからも、ゆりかもめ沿線には「ほん怖」のロケ地が沢山あるので、ほん怖ファンには楽しい路線となっています。

 「噴水(泉)」の後ろにハッキリ「テレコムセンター」が写り込んでいれば、本編冒頭の「愛媛県松山市」という字幕にも「嘘つきっー!」と言えるのですが、望遠レンズで噴水(泉)越しにゆりかもめの高架だけを写すことでテレコムセンター駅前とは判らないように撮影されていました。

 もっとも、駅前の公園に置かれた「赤いオブジェ」が映った時点で、気付く人は気付いただろうと思いますが。

 噴水(泉)前を後にして歩道に出てきた美和が初めて「影」「目撃」した場所は、「国際研究交流大学村 東京国際交流館」「独立行政法人 日本学生支援機構」の間のスペースです。「影」は、「国際研究交流~」へ入って行きました。

 ロケ地②、美和が従姉(平岩 紙さん)と合うために出かけた時に、再度「影」を目撃した「交差点」と「影」が入っていった飲食店の入った「建物」

 京浜急行「大森海岸駅」「平和島駅」の中間あたりの「ガード下の交差点」です。奥の交差点は「第一京浜」の「大森北交差点」です。

 「影」が入って行った「建物」。本編では小道具の看板類が並べられ「飲食店」として撮影されました。左側の高架は京浜急行(本線)です。平和島駅方面を写しています。

 *このページを掲載した時点では、この「建物」がハウススタジオだという事が分りませんでしたが、その後、「マーミーズスタジオ&ロケーション」「オフィスビルロケーション 大森01」だと判明しましたので、スタジオ紹介のページへのリンクを追加します。

● マミーズスタジオ&ロケーション「オフィスビルロケーション 大森01」の紹介ページ


 ロケ地③、美和と従姉が食事をしたレストラン「ビストロ ポンヌフ(BISTRO Pont-Neuf)」がある東京都千代田区「富士見」周辺。

 SVでは木が邪魔で店の入り口すら見えませんが、木の向こう側のビルがお店です。早稲田通り沿いにあります。

● 食べログ「ビストロ ポンヌフ」Webページ

 ロケ地④、美和の「自宅」という設定で撮影に使用された東京都世田谷区「奥沢」「ハウススタジオ」です。すぐ近くに東急東横線「自由が丘駅」があるので、「第5話 蠢く人形」の冒頭の場面の撮影も同時進行で行われていたかもしれません。

 本編には美和の自宅の外観は登場しませんが(玄関のみ登場)、画像中央が撮影に使われた住宅です。「駐車禁止」のコーンが置かれている場所に何台も車が止められているので、このSVの写真が撮られた時も何かの撮影中だったのかもしれません。

● studio mon「自由が丘スタジオ」Webページ

 ロケ地⑤、美和が面接を受けに行った「Jスカイトラベル」の外観として登場した「シーバンスホール」のある東京都港区「芝浦」周辺。

 ロケ地⑥、美和が「Jスカイトラベル」の「最終面接」に向かう途中で「影」を目撃、「追跡」する場面が撮影された東京都新宿区「下落合」周辺です。

 美和が「影」を目撃してから「追跡」を開始して「葬儀」が行われている家へたどり着くまでの「経路」に、本編シーンの順番通りに①~⑤(赤)の番号を付けました。矢印の方向は、「影」を追って美和が走った方向です。

 美和が最終面接へ向かう途中で「影」を「目撃」した道。

 美和が「影」の「追跡」を決意した坂道。

 「影」を追跡して駆け上がった「石段」へ続く道。(影を追跡①)

 石段を駆け上がって、「分かれ道」を右へ。(影を追跡②)

 画面奥から駐車場の前を通って走って来る美和。(影を追跡③)

 再び分かれ道、美和は「影」を追って壁沿いの道をダッシュ!(影を追跡④)

 どこまでも続いていそうな壁沿いの道をさらに追跡。(影を追跡⑤)

 「影」を追って「坂道」を駆け上がって来る美和。(影を追跡⑥)

 「影」を追って、右へ、左へ住宅街を走り回る美和。(影を追跡⑦)

 「影」を追ってたどり着いた「葬儀中の家(ハウススタジオ)」「影を追跡②」の分かれ道で、右へ曲がって、そのまま、まっすぐに進んでいればこの家に着いていたのですが、「影」にいいように「弄ばれた」のか、「影」が「影の意思」で美和の追跡を「振り切ろうとした」のかは不明ですが、「画になる場面構築」という理由と、「長い距離を追跡しました。」という演出のために、フカキョンは下落合の住宅街を走り回らされたということですね。

● STUDIO YOURS「studio 下落合」Webページ

 ロケ地⑦、美和の祖父が入院した「病院」、本編では「岩村病院」として登場していますが、埼玉県富士見市の「井上病院」(ハウススタジオ)です。

 ここは「病院」の撮影によく使われる「ハウススタジオ」なので、病院名が本編の様に変わっていたることがあるかもしれませんが、ホラー作品以外のドラマにも登場します。

● planear「みずほ台井上病院スタジオ」webページ

 「影」を目撃していた祖父は亡くなってしまったものの、美和自身は旅行会社(ウィズワン旅行社)に再就職を果たしましたが、美和の後ろに「影」が…。という「主人公の後ろに幽霊!」という「ほん怖オチ」のパターンに沿った終わり方。

 結局、この「影」は、「不吉を暗示」しているのではなく、「影」見た人に「不幸」が訪れるのではないでしょうか?再就職後は「影」を見なくなった美和ですが、見なくなったのではなく、自分の真後ろにいるから見えなくなっただけですね。「黒い影が見えた人=もう長くない…。」、そう考えると、仕事に励む笑顔の美和という終わり方の先に、映像にはなっていませんが「悲劇的な最期」が待っているのかもしれません。映像になっていないその部分こそが、「影」が視聴者に伝えようとした「暗示」なのだろうと思います。



第4話 女子高大パニック

脚本:酒巻浩史さん  鶴田法男さん

演出:鶴田法男さん

出演:坂口憲二さん  新川優愛さん  山田親太朗さん  木野 花さん 他

 主人公=沢木洋介(坂口憲二さん)が教員として勤める女子高。ある日、駐車場に「亀裂」がある事に気が付いたが、それ以降、生徒(新川優愛さん)のスマートフォンに謎の「動画」が送られてきたり「不可解な出来事」が起き始め、学校全体を巻き込む「騒動(パニック)」へ発展する。そもそも、その学園が建てられる以前、そこは「墓地」だったという事がすべての「原因」らしいが…。という話。

 実際に起こった「集団ヒステリー事件」が、この話の素になっているといわれましたが、放送日に近い日付では2013年6月19日に兵庫県の高校で起きていたようです。「最初に倒れた子が霊感が強い子だった。」という話があり、すべては「霊の仕業」という話に膨らんでしまったのでしょうか。

 その1年後(2014年6月30日)にも、福岡県柳川市の高校で集団ヒステリー事件が発生。直前に行った「英彦山への遠足」「悪い霊」が憑いてきたという話もあるようです。

 原因不明の事象を「霊の仕業」として片づけることは簡単ですが、「本当の原因」について考える事を「放棄」しているようで良くないですね。

 ただ、この「女子高大パニック」は原因不明ながらも、起きた事象は大勢の生徒と学校関係者の目の前に「幽霊」が姿を現し、その幽霊が「飛び降り自殺」を繰り返すというものですから、話を膨らませ過ぎていると言わざるを得ません。実際に学校全体が「心霊現象」に見舞われていたら、それぞれの立場から体験談が語られ、学校で起きた現象が「集団ヒステリー(集団妄想)」ではなく、実際に起きた「心霊現象の記録」として何か話が伝わって来そうなものですが、それもなく…。そうなると、「ほん怖」の「体験談に基づく実話のドラマ化」という設定が揺らいでしまうので、「ほん怖」としては微妙な作品となったように思います。

 この作品で私が「怖い」と感じたのは、校内で起こる数々の不可解な出来事を「見て見ぬ振り」でやり過ごし、「この学園に問題なんてありませんっ!」と言い切る「学園長の対応」です。

 教育現場の「教師の疲弊」や、「いじめられている子供たちの悲鳴」を見て見ぬ振りでやり過ごし、「教育委員会」「文部省」に対して「うちの学校に問題はありません。=良い学校」を装っている今日の「教育現場の問題」をイメージさせられたからです。

 さて、そのロケ地は、本編では「岩手県某所」として紹介された「女子高」ですが、茨城県小美玉市の「茨城県立中央高校(旧小川高校)」です。

 すべての場面が校内で撮影されたようです。校舎の形に特徴があるので見覚えがある方もいらっしゃるかもしれませんが、染谷将太さん主演、山崎 貴監督作品「寄生獣」にも登場した学校です。



第5話 蠢く人形

脚本:穂科エミさん

演出:森脇智延さん

出演:指原莉乃さん  岡本 玲さん  小澤亮太さん 他

 主人公=園田里菜(指原莉乃さん)が、街で見かけて一目惚れして購入した「くるみ割り人形」。その人形を手に入れてから里菜の周囲で異変が起き始める。異変の原因が「人形」である事を感じ始める里菜だったが、既に人形にからは逃れられなくなっていた…。という話。

 「人形」「Jホラー作品」の定番アイテムの「市松人形」だったら、いかにも何か騒動を引き起こしそうな不穏な存在として、主人公に迫る危機を視聴者にも容易に予想させることができただろうと思いますが、この話に登場するのは「くるみ割り人形」、しかも「イケメン」…。人形の明るいイメージと、引き起こす騒動の不気味さのギャップで右往左往する主人公があわれでもあり、滑稽でもありました。

 ただ、捨てたはずの人形が戻って来るという現象は実際に起きたら、かなり怖いでしょうね。それだけに、「怪談話」の中には「捨てたはずの人形が戻ってきた」というエピソードがしばしば登場します。人形の「髪の毛が伸びる」だけでも十分怖いのですが、この話に登場する人形は、手も脚も動かず髪の毛も伸びそうにない「くるみ割り人形」。その人形が、勝手に向きを変えたり、捨てても戻ってきたり、存在を主張して怪音を立てたりという、人形の「外観」と引き起こす現象の不気味さの「対比」がこの話の「怖さ」の本質。人形に憑いた「得体の知れない何か」を、視聴者に「想像」させることで「怖さ」を感じさせる演出でした。

 ロケ地①、冒頭のシーンは東急東横線「自由が丘駅」南口の商店街で撮影されています。

 「東京都某所」という設定ですが、自由が丘駅南口の商店街です(確かに東京都某所ではあります。)。「影の暗示」で使用されたハウススタジオを撮影の「拠点」にして、自由が丘でロケが行われたのではないでしょうか。

 里菜が「歩きスマホ」で友人(岡本 玲さん)と話ながら歩いていた自由が丘駅直下のガード付近。

 ロケ地②、てっきり「自由が丘駅」周辺の店にあの人形を売っていた店があるものと思い探しましたが、撮影に使われた店は千葉県稲毛区「JR西千葉駅」近くにありました。

 店の外観は登場しませんでしたが、SVで周囲を見ると、人形を見つけた時の里菜の後ろに見える「ブロック塀」や、歩きスマホで話しながら角を曲がった時に通りの向こうに見える「マンション(出窓)」から、この場所が人形(イケメ~ン♪)と「出会ってしまった店」だと判ります。

 ロケ地③、人形を衝動買いし、友人と合流して「合コン」会場へ。「合コン」会場となったのは、東京都渋谷「JR渋谷駅」近くの「ビーエイト(BEE8)」(地下)です。

 ロケ地④、合コン終了後、友人を伴って帰宅。いよいよ「怪異」が起き始める里菜の「自宅アパート」千葉県中央区、京成千葉線「千葉寺駅」近くのアパート。

 里菜の部屋は、1階の一番奥の部屋です。せっかくのイケメンくんをゴミとして捨てた「ゴミ置き場」が手前に見えます。

 その捨てた人形が戻って来て怪異を引き起こす場面で、「心霊現象」が映ったと話題になりました。「怪音」の出所が戻ってきた人形だと判って、慌てて部屋へ逃げ帰って来た場面で、友人役の岡本さんの手前にある「テーブルの上」「何か」がわずかに動きます。場面の設定では、室内には「里菜と友人の二人きり」なので、テーブルの上の物を動かした「誰か」がいた事になり「心霊現象だっ!」となりましたが、実際は「撮影の現場」ですから、二人以外にも「カメラの死角」「スタッフ」が配置されていて当然っ!誤ってテーブルの上の物を動かしてしまったのを「編集」の段階で「見落とした」か、知っていて「話題作り」のためにあえて残した「NG映像」の可能性が考えられます。放送当時かなり「話題」になりましたから、制作スタッフとしては「してやったりっ!」だったのではないでしょうか。

 ロケ地⑤、ようやく人形の恐怖から解放されたと思った里菜たちが二人が立ち寄った「ビンテージショップ」として撮影が行われた、東京都渋谷区「上原」のインテリアショップ「ARKE STRA」

 一度は里菜に捨てられてボロボロに壊れて帰って来た人形が、その後どうなったのか。一点の曇りもない笑顔で店内の散策を楽しむ二人の場面で本編が終わっているので、気が付かなかった人は、気が付かなかったかもしれませんが、店内を移動して「フレームアウト」した二人の後ろに、しっかりと立っていました。主人公が「立ち位置」を変えるとそこに「幽霊がっ!」「主人公の後ろに幽霊!」「ほん怖オチ」のパターンで終わった本編でした。

 楽しそうな二人だったために、人形の存在に気が付いた瞬間に「もう、逃げられない…。」という主人公たちの「運命」を思い背筋が寒くなった作品でした。人形の「復讐」に期待!チャッキーか!?


やさぐれ Modeling Cafe(Ameba Ownd)

忙しい毎日、「模型を作っていられる時間」って、ちょっと贅沢な時間の使い方かもしれませんね。

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